
(書籍の装丁はHontoより引用)
2024年1月17日、第170回芥川賞の受賞者が発表されました。受賞作品は九段理江さん(33)の『東京都同情塔』です。この小説は、AIやチャットGPTといった最新の技術を駆使して書かれたもので、「全体の5%くらいは生成AIの文章をそのまま使っている」という衝撃的な事実が明らかになりました。
以下に『東京都同情塔』のあらすじを紹介します(ネタバレはしません)。
『東京都同情塔』は、ザハ・ハディドの設計による東京国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることから始まります。主人公は、犯罪者に寛容になれない建築家・牧名沙羅です。彼女は、シンパシータワートーキョーの設計を担当することになり、仕事と信条の乖離に苦悩します。シンパシータワートーキョーは、犯罪者を「リハビリテーション」するための施設として設計されています。犯罪者は、塔の各階で、自分の罪を反省し、社会復帰するためのプログラムを受けます。牧名は、塔の設計に携わるうちに、犯罪者に対する自分の考えが変わっていくことに気づきます。(ネタバレ防止のためあらすじは中略します) 東京都同情塔は、現代社会における寛容と正義の問題をテーマにした作品です。犯罪者に対する社会の姿勢を問いかけ、寛容の意味を問い直す、重要な作品と言えるでしょう。
『東京都同情塔』は、作品内にもAIや生成AIが登場します。AIとの向き合い方については、作品内で明確に描かれているわけではありません。ただし、主人公の牧名は、生成AIが普及する現代で仕事と信条の違いに苦悩しながらも、パワフルに未来を追求する姿勢を見せています。生成AIが普及する現代における言葉や人間の生きる条件などについて思考を巡らせていく様子が描かれています。
ChatGPTなど生成AIの登場以来、クリエイティブや教育の現場では、AIとどのように向き合うかが大きなテーマとなっています。そんななか、著者の九段理江氏さんも「AIを利用しながら自分の創造性を発揮できるよう、うまく付き合っていきたい」と語っており、現在におけるAIとの付き合い方の見本を示したとも言えます。これを機に、クリエイターを助けるものとしてAIへの理解が深まるといいですね。
参照元:Amazon スポニチ KAI-YOU さとなり NIKKEI honto
監修者のコメント:複数回のAIによる生成などにまとめています。あらすじが面白そうなので早速購入して読み始めました。